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影を無くしたような白い部屋
静かな部屋の中にカタカタとタイプライターのキーの音だけが響く
部屋の中央には小さなテーブルと椅子があり
タイプライターはその上に乗っている
タイプライターは使い古された黒い旧式の物だ
音に合わせてアームと呼ばれる活字のついた金属の棒が跳ね上がる
音だけ聞けば誰しも優秀でスマートなタイピストを思い浮かべる…
しかし実際キーの上を動いているのは
毛むくじゃらな無骨な手
手の持ち主はウィリアムと言う男性
ウィリアムは英語を知らない
もっと言えば言葉自体理解していない
「ウィリアム」は猿だ
実はウィリアムは脳を機械で制御されている
近くには男性が一人
男性の名はジャックと言う
ジャックはテーブルの上のノートに目を落とす
そこには猿の行動がびっしりと書かれていた
ジャックの仕事は猿を観察することだ
突然タイプの音が止まったジャックは顔を上げた猿が自分の後頭部を押さえている
嫌な予感がした
猿は自分の状況に気づいてしまったのでは無いか?とジャックは思った
1時間後
予想は確信に変わった
猿はもう二度とタイプライターに触れることは無かった……
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