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「私はあなたが嫌い。すぐに自分の事しか考えられなくなる。私の事なんか全く思っていない! 全て地位、名誉、権力、財産に向いている。私の事なんかこれぽっちもわかってないし、わかろうともしてない」
彼女は、僕にでたらめの数々を並べて突き付け、満足そうに瞳の奥に大きな灯火を点けていた事を僕は知っている。
別れたくて別れたくて別れたくてワカレタクテ。
僕でない愛する人の背中を一心に追いかけていた。必死に運命に逆らおうとしていた。
そう。いつか読んだあの恋愛小説のように、困難な壁を壊し、周囲の人達の事など一切構うこともなく、己が描く幻想を現実へと変えるために奔走していた。
僕には、それが理解できてわかろうとはしなかった。
――別れ。
荒れ狂う火の中で僕は、まるで殺人鬼の如く人を殺していた。
歯向かう者を躊躇など一切する事なく心を失った機械のように剣に血を塗り潰していく。
僕を裏切った全てに裁きを。
彼女が逃れた王国を際限なく血の海にするべく編成した最強の部隊を有して、戦場の英雄と呼ばれた僕が先陣をきって、本当に全てを消すために戦争を仕掛けた。
表向きでは、僕との政略結婚をせず、その行為を彼女が住む国が僕の住む王国を裏切ったと見なしての所謂潰し。それも彼女が嫁いだ国が僕の住む軍事王国に対して敵対していたのだから、理由としては何ら不思議ではない。
しかし、裏向きは違う。表向きの話は都合が良かっただけで、本当の理由は僕個人による復讐。ただそれだけ。
さぁ。
始めようか。
恨めばいい。この僕を!
恨めばいい。愚かで馬鹿な彼女を! 自分の身分すら考えずにただ一人を愛した者の馬鹿な末路をよく見ればいい! 所詮は夢物語である事を、この僕が、ここで証明してあげよう。
廻れ。
なんと言われようが知ったものではない。
僕が、僕の、僕を、存在した理由を。
――絶望を。
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