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『やばい!遅刻しちゃうよー!!』
いつも遅刻ギリギリだから昨日は目覚まし時計を20分早くセットした。なのにこのありさま。アラームが鳴ったとき"あと20分ある"そう思って2度寝してしまった。つくづく私は学習能力がないんだな、と痛感する。
『う~、さむ~いっ』
玄関のドアを開ければ、辺り一面真っ白な世界が広がる。そういえば昨日の夜から雪が降っていて、雪だるまをつくりながら学校に行こうと考えていた。けど今じゃそんな余裕はない。むしろこの雪のために歩きづらくなる。私の運動能力だと走ったら滑って転んでしまうだろう。だからといって、ゆっくり歩いていたら確実に遅刻だ。迷っているヒマはない。私は意を決して走りだした。
さくさく、足を踏み出すたびに聞こえる音。それは一定のリズムを刻んでいて、どこか心地よいものだった。今のところ順調に走れている。だが、ここからが難関だ。この先に下り坂が待っている。いつもなら気にならない傾斜だけど、雪道となれば話は別だ。一度躊躇い足を止めたがまた再び走りだした。あれ、私の予想とは裏腹にすらすら走れている。このままいける!そう思いラストスパートをかけた。すると、曲がり角から人が出てきた。計算外だ。避けることも止まることも出来ない私はひたすら声を上げた。
『あっぶなーい!!!』
ぽすっ。ぶつかった割にはひどく穏やかな音がした。それに視界が暗い。一体何が起きたのか。
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