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その部屋の向かいには部屋がない。代わりに廊下の曲がり角があって、廊下が続いている。
「あ、ここは扉があるね。」
恭子は言った。
私はそっと扉を開いた。
中は、脱衣場のないお風呂場があった。
風呂釜には蓋がしてあった。
「どうする?外して見る?」
私は恭子に言った。
しかし、恭子はこう言った。
「ねえ、直美遅くない?」
「え……?」
「それにさぁ、トイレに行くって言ったってさ。初めて来た場所だよ?どうして廊下を走って行っちゃうわけ?」
恭子がそう言ったときだった。
バンッ!
風呂釜から何かの音がした。
そして、静寂が訪れる。
「何?今の。」
美紀が青い顔で言った。
「早くお風呂場から出よう!」
私はそう言ってお風呂場を飛び出した。
恭子もそれに続く。
しかし、美紀が出てこない。
「美紀?」
私は恐怖心をおさえ、お風呂場の中を覗いた。
美紀は……居なかった。
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