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「ハァッ…ハァ…。」
殆ど無音状態の中、1人の青年の荒い息遣いと階段をかける音のみが辺りに響き渡る。
無限に続くかのような螺旋階段をかけ上る。
毎日毎日当然のようにそこにあった大理石の階段が、自分を嘲り笑っているように思える。
(何故…何故こんなことを…)
幾度も沸き起こる雑念を振り払い、螺旋階段を上がりきる。
後は、王室までの階段を上がるだけなのだが、身体が思うように動かない。
何十キロ全速力で走ったのだろうか。
確かなのは、人間ならとうに倒れていると言うことだ。
この時ばかりは、自分の身体に感謝した。
とにかく、時間が無い。
彼はフラフラな身体をなんとか起こし、王室へと繋がる階段をかけ上った。
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