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私達は特等席でパレードを見た後、二人で街中の出店を見て回る事にした。
因みに。今回の祭りに悪魔が招待されている事は機密事項になっている。
五年間もの長い間殺し合いをしてきた相手だ。
そんな相手に友好的な態度をとれる訳もない。
私達悪魔が切り裂いた身体の主を待っていた妻、子供、両親、親友の事を考えると、私達が本来、招かれざる客である事は明らかだ。
「兄さんっ。あっちで何かやってるよっ!」
レンの馬鹿デカイ声を聞き、正気に戻る。楽しい席で暗くなっていた自分を責める。
それを繰り返さない為の和平だろうが。過ぎた事は変えられない。今出来る事は少しずつでも人間と悪魔の関係を良いものにしていく事だけじゃないか。
今は祭。楽しまなければ損だ。
レンが興奮気味に指を指す方を見てみると、デカイ看板に[力自慢大会]とお世辞にも上手いとは言えない字で書いてあり、その下にはいかにも屈強そうな男達が集まり腕相撲と言う競技をしている。
「ちょっとやって来るっ!」
「…程々にするんだぞ…。」
分かってるよと目で告げ、ガタイの良い男達の群に飛び込んで行く16歳。
最初は皆に子供扱いされ、舐められていたが、直ぐにその考えは改めさせられたようだ。
結局数十分後。賞金を手に満足気にレンが戻ってきた。
待っている方の身にもなってほしいな…。
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