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様々な出店を覗き、夕日が半分、奥の山々の中に隠れ始めた時。
急に、私達の上にあった鐘が轟音をあげる。
「兄さん、これは…!」
「あぁ、この音は…敵襲を知らせる警報だ。」
この鐘は色によって錬成されたもので、状況に応じて自身の力で音を鳴らす。
この鐘の音はこの広い王都を埋め尽くす程に大きい。
その為誤報も許される筈がない。入念に点検されている。そのお陰もあってか、これが完成して400年経った今でも、誤報は勿論。
定時の報告すら、1秒の狂いも生じた事は無いという。
思った通り。奥から人がこちらに逃げているのがここからでも見える。
私達はさっきの巨大な鐘が建てられている教会の屋根に飛び乗る。
下は既に逃げる人々で埋め尽くされようとしていたので、武器が抜けなくなる。
それと、高い所に立ち、敵の存在をいち早く気付く事が大事だ。
この判断が運命を大きく左右されることも少なくない。
ただ、私達は山賊か何かの襲撃なのだろうと心の中で油断していたのだろう。
これから始まる悲劇の引き金が引かれたなど、想像すら出来なかった。
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