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ようやく扉の前にたどり着く。だが、いざ開けるとなると躊躇している自分がいる。
逃げるな…全てを聞き、全ての事実を受け止めるんだ。
「ハァ……。」
呼吸を整え、馬鹿でかい扉を開く。
扉の先には、悪魔の王が口元を歪めながら彼を迎えていたが、同じ笑顔でも人間の国王とは似ても似つかぬ狂気に満ちた笑顔だった。
「ギリアルは…死んだようだな…。」
愉悦そうに笑みを溢すこの悪魔に異常なまでの殺意を催す。
猛る自我を抑え、刀を構える。
「…何故です。何故国王を…多くの民を殺したのですかっ!」
真剣な問いにも答えるつもりは無いのだろう。
彼が強く言えば言うほど、この男は蔑んだように笑う。
「なに、私の欲しい物が、ゴミの下に埋もれていただけの事だ。」
言い切ると同時に彼は切りかかった。
彼の刀は深々と悪魔の身体を切り裂いたが、悪魔は何の反応も見せず先程の話の続きを一方的に語りだす。
「あのゴミ共の下に何があるか知っているか?」
「黙れっ!」
今度は素早く踏み込み、突きをいれる。
腹に深く突き刺さるが全く意に介さない。
ここで先程も気になっていた違和感は確信に変わる。
…血が出ていない
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