1591人が本棚に入れています
本棚に追加
「・・・おい、フローラ。本当にあの娘は剣を握ったことが無いのか?」
ライトと剣を交える少女。目の前の光景にシーアスは驚いていた。
「はい。ユイ様がいらした世界はこちらとは違いますので」
フローラがそう言うのならば剣の経験が無いのだろう。何しろ本人が言っていたのだ。抜けてしまった剣を手に戸惑い、不安な顔をしていた少女が筋の良い動きをしている。
「だが、あの動き・・・未経験者とは思えません」
「ああ」
本当に伝説の騎士の魂を持つ者なのか・・・
ーーーキンッ キーンッ!
「あっ!」
ズザーッ!ライトさんの剣に飛ばされ、おもいっきり転んでしまった。
「いったーいっ!」
「あっ、すみません!つい力が入ってしまって・・・大丈夫ですか?」
ライトさんは起き上がる私を支えてくれた。
「あ、ありがとうございます!」
「あ・・・おもいっきり擦りむいてしまったね・・・大丈夫ですか?」
右膝と右肘を擦りむいていた。
「あ、これくらい慣れてるので」
苦笑する私を、ライトさんはジッと見つめてきた。
「あなたは本当に、剣術をやったことが無いんですか?」
「はい。やったことないんだけど不思議なんです。この剣を握った瞬間、体の中の奥深くから何かが出てきたっていうか・・・」
すると、フローラさんが私達に近づいてきた。
「その剣の力で、魂の本質が目覚めたのでしょう」
魂の本質?魂に剣の経験があるってこと?
「え?じゃあ今のもそうなんですか?知らないのに、何故か剣の受け方振り方とかわかって・・・」
フローラさんは優しく微笑んだ。
「ええ。その通りです。シーアス陛下、信じていただけたでしょうか?」
最初のコメントを投稿しよう!