とある日の夜

4/7
前へ
/751ページ
次へ
「お前ら、オレが終わるまで待てんのか?」 「わわわっ!」 私は、背の高いお兄さん方に囲まれてもみくちゃになっていた。ひー!抜け出せないよー!誰か助けてー! ガチャ 「・・・騒がしいと思って来てみれば・・・ユイを寄ってたかっていじめているのか?」 手を腰にあてて立っているサルファーさんが、救世主に見えた。 「サルファーさん!助けて~」 隙間から伸ばした手を掴まれ、無事に抜け出す事ができた。 「助かった~ありがとうございます」 「あ、サルファー閣下」 「邪魔すんなよ。今、大事なとこなんだ」 「そのようには見えなかったが」 「ユイに肩もみしてもらう順番を決めていたんです」 サルファーさんは、くだらん。とため息混じりに言い、私の背中を押して歩き出した。 「あ、オイ!サルファー!」 バタン ジェットさんの呼ぶ声を無視して、サルファーさんは部屋の扉を閉めた。 「まったく、とんだ災難だったな」 「ははは・・・でも助かりました。ありがとうございました。あ、サルファーさんそれ―・・・」 私はサルファーさんが手にしている物が気になった。 「これか?」 「はい!もしかして望遠鏡?」 「そうだ」 「星を見るんですか?」 「よくわかったな」 「父さんが好きで、一緒によく見るんです」 「・・・ならば、お前も見るか?」 「いいんですか!見たい!」 誘ってくれたことが嬉しくて即答すると、サルファーさんは小さく微笑み、私の部屋の前を通り過ぎて歩いて行く。私も隣りに並んでついて行った。ふと気づくと、サルファーさんは私に合わせてゆっくり歩いてくれている。優しいな。
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1590人が本棚に入れています
本棚に追加