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「お前ら、オレが終わるまで待てんのか?」
「わわわっ!」
私は、背の高いお兄さん方に囲まれてもみくちゃになっていた。ひー!抜け出せないよー!誰か助けてー!
ガチャ
「・・・騒がしいと思って来てみれば・・・ユイを寄ってたかっていじめているのか?」
手を腰にあてて立っているサルファーさんが、救世主に見えた。
「サルファーさん!助けて~」
隙間から伸ばした手を掴まれ、無事に抜け出す事ができた。
「助かった~ありがとうございます」
「あ、サルファー閣下」
「邪魔すんなよ。今、大事なとこなんだ」
「そのようには見えなかったが」
「ユイに肩もみしてもらう順番を決めていたんです」
サルファーさんは、くだらん。とため息混じりに言い、私の背中を押して歩き出した。
「あ、オイ!サルファー!」
バタン
ジェットさんの呼ぶ声を無視して、サルファーさんは部屋の扉を閉めた。
「まったく、とんだ災難だったな」
「ははは・・・でも助かりました。ありがとうございました。あ、サルファーさんそれ―・・・」
私はサルファーさんが手にしている物が気になった。
「これか?」
「はい!もしかして望遠鏡?」
「そうだ」
「星を見るんですか?」
「よくわかったな」
「父さんが好きで、一緒によく見るんです」
「・・・ならば、お前も見るか?」
「いいんですか!見たい!」
誘ってくれたことが嬉しくて即答すると、サルファーさんは小さく微笑み、私の部屋の前を通り過ぎて歩いて行く。私も隣りに並んでついて行った。ふと気づくと、サルファーさんは私に合わせてゆっくり歩いてくれている。優しいな。
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