とある日の夜

6/7
前へ
/751ページ
次へ
「そうとも言う」 「・・・もー遊んでるでしょ!」 頬を膨らませ、私を軽く睨んでいる。まったく威力が無いな。 「フッ。わかるか?」 「わかりますー。サルファーさんまでそうやって」 「クスッ。これを覗くのもいいが、空を見るのもいい」 「・・・ほんとだー・・・」 ユイはそのまま仰向けに寝転んだ。 「あーあ。眼鏡もってくれば良かったな~」 「目が弱いのか?」 「はい。乱視で、星が倍に見えるんです」 「そうか・・・」 「遠くなんてハッキリ見えなくて・・・視力悪いと不便ですよね」 「そうだな」 視力が弱いとはまったく気がつかなかった。遠くからでも、名を呼びながら駆けて来たりもしたから・・・ 「でも、こっちの世界の星っておもしろいものがありますね」 「ユイの世界では、どんな星がある?」 「さっき見せてくれたわっかのある星。あの上下のわっかが無いやつとか・・・それは土星っていうんです・・・えーっと・・・」 起き上がり、何やらもぞもぞと服を探っている。紙と筆記具・・・を取り出しランプの灯りの下、何か書き始めた。 ほう。なかなか興味深い筆記具だ。私の知る携帯用の物とは違う。ユイは紙に書いた、大きさの違う丸を指しながら話し出した。 「えっと、私が住んでいる日本は地球って惑星の中にあるんです。その地球があるとこを太陽系って言って、これが太陽。次が水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星・・・」 星の説明をしてくれている。異世界というものは文明も違い、とても興味深い。 「この中では地球にしか人はいないんです。で、地球の衛星が月。私が知ってるのはこんな感じです。小学校で習う事だけど・・・こっちの世界も同じような感じですか?」 「ここまではハッキリと解ってはいないが、月と太陽があるということはチキュウと同じような境遇なのかもしれん。だが、このようになっているのだな」 「宇宙は広いんで、専門機関が調べているみたいだけど・・・でも、星空って不思議ですよね。癒やされるんだもん」 そう言い、私から目を外し空を見上げた。私も一緒に星空に目を移した。
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1590人が本棚に入れています
本棚に追加