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シーアス陛下は私を見下ろし、片手を腰に当てて言った。
「目の前で見せられては、信じるしかあるまい・・・だが、オレを守るのであればこのままでは頼りないな」
ニヤリとしながら私を見ている。私はブスッとしながら答えた。
「私はまだ騎士になるとも、あなたを守るとも言ってません」
「フッ。気の強い奴は嫌いじゃない。せいぜい頑張るがいい。チビ」
と、私の頭をポンポンと叩いた。ムカッ。
「チビで悪かったね!152㎝しかなくて気にしてるのに!誰があんたなんか守るかー!」
剣を振り上げている私に、シーアス陛下はおもしろそうだと言うように口角を上げた。
「お前に選ぶ権利は無い。今からオレ付きの騎士見習いだ」
「は!?何勝手に決めちゃってんの!?」
「ライト。こいつの教育はお前に任せた」
シーアス陛下は淡々と話しを進めている。
「はい」
「ちょっとってばっ!」
「これくらいの子供の相手は、お前が馴れているだろう」
「たまに教えてはいますが・・・」
ライトさんは苦笑している。
「っチビで子供で悪かったですね!」
「誰も悪いとは言っていないだろう」
「へ・・・?」
バカにしてたくせにどゆこと?
「事実を言ったまでだ」
しれっと勝ち誇ったような顔をしている。カッチーン!怒りでふるふるしている私を見かねて、フローラさんが間に入ってくれた。
「シーアス陛下、お戯れが過ぎます」
「まぁ怒るな。子供のお前にどこまで出来るか知らんが、期待している」
「な・・・」
「せいぜい足掻いてみろ」
ムッカ!なんだその言い方は!
はっはっはと楽しそうに笑いながら、サルファーさんと行ってしまった。
「ヤな奴!」
ブスッとふくれていると、ライトさんに優しい口調で話し掛けられた。
「あんなことを言っていますが、陛下はあなたのことがとても気に入ったようです」
「でもさ、チビだのガキだの初対面の傷付きやすい年頃の女の子に言います!?デリカシーのかけらも無いっ」
「あれが陛下なりの激励の言葉なんです。あの人は素直じゃないんで」
フローラさんも頷いている。
「シーアス陛下を見ていれば、いずれわかってくると思いますよ」
んー・・・
「嫌なことは言うけど、悪い人ではなさそうとは思うけど―・・・あ」
私は肝心なことを忘れていた。
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