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―――夜―――
私は自分の部屋のベッドに横になりながら、窓から見える月を見ていた。
人って、何のために生きているんだろ。
勉強するため?大人になるため?
何のために私は生まれてきたんだろう・・・こんなことをしていていいのかなって、最近よく思うんだよね。進路も決めなくちゃいけないしさ。就職にしろ進学にしろ、目的や目標がすでにある人なら選びやすいし考えやすいよ。でもね、特にハッキリとしたものが無い人にとったら、濃い霧の中に立っているような不安しかない。そんな高校生に将来の進路決めろってさ早いよー。職業体験なんてあるけど、現実はそんな優しいものじゃないと思う。先生だって先生しか仕事をやってきてないし、だからもっと、ちゃんと考えられるような大人達のサポートがほしいなぁ。
そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りについていた。
――――――――――――――――――――
真っ暗闇の中、私は立っていた。
「――誰?誰かいるの?」
小さな光りが見えてそこに近づこうとした瞬間、闇を払うかのような白く強い光りが空間全体に広がった。
ゆっくり目を開けると、一人の女の人が立っていた。腰まで伸びたホワイトゴールドのような綺麗な髪と、薄紫色の瞳が印象的なモデルのように綺麗な女の人だ。その人は優しく微笑みを浮かべ、まるで美しい小川のせせらぎのような、涼やかで優しい声で私に話しかけた。
『時は満ちました。伝説の騎士様・・・私共の王を、どうかお守りください』
「伝説の騎士?」
『はい』
「私、騎士でもなんでもないですよ?」
『いいえ。あなたは生まれながらの騎士です。どうか、私共の王を世界をお守りください・・・』
その人は背後の扉を開けた。なんかこの扉見たことがあるな。
「あ、ちょっと待って!」
その扉から眩しい光りが飛び出し、白く包まれた。
――お待ちしております。ユイ様―・・・
――――――――――――――――――
「待って!」
ガバッ!
勢いよく飛び起きた。
「あ、あれ?」
だけどそこは、太陽が昇る前の薄明るくなった自分の部屋。今のって夢・・・?伝説の騎士って言ってたし、しかも王様を守れって・・・?
「何だったの・・・?」
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