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―――翌日―――
今日は午前中の部活を終え、私は家の蔵の片付けを手伝っていた。
ふと、壁に立てかけてある古い扉が目についた。その扉は私が小さい時には既にここにあった物。
「お父さん、この扉ずっとここにあるけど何で?」
「それはな、父さんの父さんの父さんの父さんの実家で使われていた扉なんだ。その凝った造りを気に入っていたようで、家を立て直す時この扉だけを外して、大事にしていたそうなんだ。今にしちゃ、じいさんの形見だから大切に蔵に置いているんだけどな」
そう言いながら大きめの木箱を両手で抱え持ち、外に出て行った。
「ふーん。そうなんだ」
これ、やっぱり昨日の夢にあった扉だよ。
木で作られたその扉にはとても細かい手の込んだ彫刻がしてあり、はめ込んであるステンドグラスには二本の剣?とお城がデザインされている。
私はそのドアノブに手を掛け、回した。開けたって後ろは壁なんだけどね―・・・って!?
「なっ!?」
扉を開けると、眩しい白い光りが夢と同じように飛び出してきた・・・・!
―――――――――――――――――――――――――――・・・・・
「おい、どうした!しっかりしろ!」
私はその声で目が覚めた。
「あ、気がついたか」
茶髪の清潔そうな青年が私を覗き込んでいた。
「あれ?私、どうしちゃったんだろ・・・」
「それはこっちが聞きたいです。道の真ん中で倒れていたんですから」
「倒れてた?」
私は周りを見渡した。木が両脇に生えていて、自然を感じさせる森の中の道って感じの所に私はいた。
「え!蔵にいたはずなんだけど、ここは・・・?」
「大丈夫ですか?体調は悪くありませんか?」
「はい・・・大丈夫です」
「ところで、あなたの名は?」
「あ、私は涼華 優衣です」
「ユイ・・・オレはライト。サンラール・ライトといいます。あなたのその服装・・・この国の者ではありませんね。どちらから来たのですか?」
言われてみれば、私を助けてくれたライトさんの格好も変わっていた。RPGでありそうな軍服?を着ていて腰には剣を下げている。それに、馬もいる。
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