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「カッコイイお城ですね!」
「クラスター城といいます」
「へぇー。綺麗だなぁ」
私は見るもの珍しくてきょろきょろしていた。
「そんなに物珍しいですか?」
「はい!見たこと無い物ばかりだもん」
「クスッ。変わっていますね」
そうこうしているうちに、教会のような建物の前で止まった。
「ゆっくり降りてくださいね」
「よっと・・・あー、なんか筋肉痛になりそう」
「さ、こちらです」
私はライトさんの後に続いて教会の中に入った。
ここ・・・雰囲気が全然違う。程良く涼しく、清められているような神聖な空気感だ。どんどん中を進み、一つの大きな扉の前で立ち止まった。扉の両脇に立っていた兵士さんが扉を開けてくれた。中は広く、学校の体育館くらいかな・・・前方の祭壇の両脇には左右対象に壁づたいに流れる滝があり、色とりどりのお花が咲いていた。
先に歩いていくライトさんの後ろを、きょろきょろしながら歩いていると聞いたことのある声がした。
「ようこそ異世界からおいでくださいました。必ずや来てくださると信じておりました」
目の前にいたその人は・・・
「あ!あなたは夢の人!?」
優しく微笑みを浮かべている。
「覚えていてくださったのですか。その節は失礼致しました」
「失礼もなにも、よくわからないんですが・・・」
「失礼ながらフローラ様。異世界からとは、どういうことでしょうか?」
その人は優しい微笑みを浮かべたまま、私に近づいた。
「申し遅れました。私(わたくし)はこの聖堂の司祭、アンネ・フローラと申します。ユイ様、ライト。それではご説明いたしましょう」
「はい」
「私が瞑想中、神の御告げがありました。ラリマール国王シーアス陛下の命と、この世界を脅かす者が現れると・・・その者から王を守ることができるのは、伝説の騎士のみと神はおっしゃいました。ですが私達が知る限り、その伝説の騎士は二千年前に現れたきり・・・そして、その魂を持つ者を探し出すことにいたしました。その魂を持つ者・・・それがユイ様。あなたなのです」
「わ、私っ!?」
「この少女がフローラ様がおっしゃっていた・・・!?」
フローラさんはニッコリ笑った。
「ええ。この気高く強き魂は、そう他にありません」
自信満々にきっぱりと言い切った。
「わ、私何もできませんよ!騎士なんて、剣なんて持ったことないんですから!部活で竹刀を持つくらいしかないんですってー!」
「ご心配には及びません」
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