統一宇宙歴

4/11
前へ
/121ページ
次へ
各地のU.S.A.軍は当初、勤勉に航路の安全確保を行ったが、徐々に自国の企業の輸送船のみを護衛するようになった。 各国からの抗議に対しては戦力の不足のためと答え、惑星間の輸送はU.S.A.の企業が独占しはじめた。 その状態が一世紀ほど続いた時、ある事件が起きた。 ドイツ系企業によって興された国家、ゲルマン連邦の惑星ドヴェルグで良質なエネルギー物質を産出する鉱山が発見されたのである。 U.S.A.はこの鉱山を人類共通の財産として、自らの管理下に置こうとした。 ゲルマン連邦政府はこれに難色を示して、共同管理を申し出たがU.S.A.側の返答は残虐を極めたものであった。 U.S.A.軍はドヴェルグに隣接する有人惑星ユミルを宇宙海賊の巣窟であるとして核攻撃を行い、住民を虐殺したのである。 この脅しに恐怖したゲルマン政府は、U.S.A.にドヴェルグを明け渡した。 後に言う、「ユミルの蛮行」である。
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加