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長く続く道のり、この先にどんな事が待っているのかは分からない街を抜け深い闇の森に辿りついた。
そこには街の人ですら夜は近付かない場所である。
多くの冒険者達が、夜にその森に近付いた為帰って来なかったという恐ろしい場所らしい興味本意や好奇心などで近付いたら罰があたるとか専らの噂だ。
「宿に泊まって休めば翌日には出発できるけど、急いでるから通らざるをえないな。」
募集の広告を片手に握り締め地図を確認するとここを通るのが近道という事になっている
「迷ってる暇はない」
ふと足を止め何かの気配に気付いた。
後ろから異様な殺意を感じる。クレアは身に付けていた短剣を抜き警戒した。
(クレア待てよ!、俺を斬るのか?)
頭の中に聞こえた声に聞き覚えがあり振り返った。
「ウォルガ!?何故、ここに・・・」
ウォルガと呼ばれる獣は美しい銀の毛を持つ銀狼で狼の中では最も力を持つ珍しい種族なのだ。クレアとはテレパシーで会話ができる。
(クレアが心配になって後をつけてきた。)
クレアは、溜め息をつきウォルガに近付き頭を撫でた。主思いの良いパートナーとして。
「ありがとう。貴方がいてくれて良かった」
ウォルガは、危機感を鼻で感じた。クレアが先程感じた気配の正体だろう
(森の主が怒っている)
「殺意の視線の正体ね?そして、冒険者達を闇に葬った獣・・・」
クレアは深呼吸し目を閉じ、正体も分からない獣に警戒した。
(来るぞ!)
グルルー
今にも襲いかかりそうな体勢で獣は深い森から一歩ずつ彼等に近付いてきた。威嚇をして
「・・・気配をもう一匹感じるけど気のせいだろうか?」
クレアは、獣以外にもいる事に気付く。
(ああ、上にいるだろうな?俺と同じ理由で待機してたんだろう)
あっさりと言うウォルガにクレアは察知した。それが何者かという事に。おそらく、あれだと。大きい翼を持ち冷静で賢く偉大な・・
グオー
竜だ。クレアを獣が狙っている事に気付いた大きな翼を持つ竜が威嚇をし天高い上空から体を反転させ急スピードでクレアの前に降りてきた。
(全く、無茶ばかりさせて・・・困った姫だな?)
獣は竜のあまりにも大きい姿に驚き森へ逃げていった。
「助かった。ヴォルトありがとう。」
この二匹はクレアに忠誠を誓う獣達だ。
ウォルガは幼いクレアに城の庭に怪我していた所保護された。ヴォルトは父の兄から貰ったバースデープレゼントの卵から孵化したものだ。
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