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「あっ! ちょっと、マロ!!」
むしゃぶりつくようにチキンを頬張るマロ。あっという間に骨のみにしてしまう。
「もぉ~、せっかく風音が綺麗にしてたのに……」
頬を膨らませて不満を訴える風音。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、マロは小さく尻尾を振りながら「ワォ」と鳴いた。
『はぁ、おいしかった。いつもありがとう風音。』
マロはそう思い、再度「ワォ」と一声あげる。
「ははは。そっか。
おいしかったならいっか!
また持ってくるね!」
マロも一声鳴いて答え、風音の手を舐めた。
「くすぐったいよ」と言いながら、笑顔でマロの頭を撫でる風音。
はじけんばかりの笑顔というのはこのことを言うのだろう。
幼く小さな顔全体を使って、精一杯の喜びを表現している顔はとても健気である。
そんな彼女の笑顔を瞳に映しながら、マロの脳裏にさほど遠くない昔が思い浮かんだ。
暖かな笑顔、少し乱暴に撫でる手つき、全てが懐かしかった。
『だから、痛いってば。』
グシグシと撫でる風音にそう思いながらも、再び身体を委ねるマロ。
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