『少女の尻尾』

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シトシトと雨が降り、コンクリートだらけの町は蒸し暑さで包まれている。 夜でもまばらに輝くネオンから、さほど遠くない所に位置する河川敷。 そこを歩く一匹の黒猫の姿があった。 幾重にもなるカギ尻尾を水平に堂々と歩く姿は、違和感を感じざるをえない。 黒猫は、雨から逃げるように高架下に入り込み、身体震わせて水をはじく。 「ふぅ…難儀やなぁ」 そう一言漏らすと、草むらに身を丸めて目を閉じた。
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