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そんなマロを見て、少女は嬉しそうにグシグシと拙い手つきで撫でていたが、突然思い出したようにランドセルを降ろす。
「そうだ! へへぇ~、今日は豪勢だよ~!!」
そういうと、少女はランドセルから大事そうにティッシュに包まれたモノを取り出した。
マロはそれが出てきた瞬間から尻尾を小刻みに振り続けている。
『今日のすごく良い匂いっ!!』
尻尾を振り続けるマロを見て、少女は嬉しそうに笑う。
「今日のはね、半年に一度くらいしか出ないような豪華な奴なんだよ~!
一人二個までしか食べれないんだけど、風音(かざね)のを一つ持って来ちゃった。
今ティッシュを取るからね……
あっ。」
風音が嬉しそうにしゃべりながら剥がしていたティッシュの中身は骨付きのフライドチキンだった。
しかし、その油分をティッシュが吸い取ってしまい、まばらにティッシュの破片がついてしまっている。
「……ごめんね、マロ。今取るから!」
そう言って、眉間にしわを寄せながら必死で取ろうとしている風音。
それを尻尾を振りながら見つめていたマロ。
彼の中で、風音が差し出してくるまで我慢しようという意識はあったのだが、チキンの匂いが除々に理性を溶かしていった。
ほんの数秒待った後、マロは一声鳴いた後に風音の手からチキンを奪い取った。
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