第二章《生きてしまった》

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「ねえ、知ってる?」  ルージュは今後ろの席から肩を叩かれ、それに耳を傾けていた。  後ろの席の子は、少し前のめりになって耳打ちするように話をする。 「近くの森に恐ろしい化物がいるんだって」  その子はルージュにそう言うと、今度はルージュの反応を待つように、下から顔を覗いた。  ルージュは目線は前に留めたまま、少しだけ体を斜めに傾けて答えた。 「知ってる、ブルースノウの事でしょ?」
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