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『奇跡』
まるで痛みは感じなかった。これまで苦しい想いをしてきたからかな。
自分の死が、とても潔くて清々しいんだ。
一人の人として、そして兄として妹にしてあげられた事は、とても少なかった。
どうして泣いてるの……?
どうして笑ってるの……?
矛盾にも似た顔で、妹は幸せを噛み締めていた。
周りの人は俺を見ていたけれど、そんな事はどうでもいい。
ああ、妹よ……。こんな日にもっと祝福出来ない兄を許せ。
俺はお前を愛してた。突き放した時もあったけど、やっと幸せになれたんだね……。俺はそれだけで満足だよ。
なあ、妹よ──
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