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──「ハァ……、ハァ……」
汗が尋常じゃない。
立ち止まると、まるで湯水の如く流れ出すそれは、今少年の顔から地面に落ちる。
落ちた汗は、直ぐ様地面を溶かした。
ジワリ……
溶かした、と言うよりは、地面が勝手に溶けたと言った方が正しいか。
この辺りは一面が銀世界で、少年が立ち止まるところにも、雪が積もっていた。
そこに居るもの、全てを寒さに引きずり込むほどの雪。凍えずにはいられないだろう。
だが先程からずっと、汗が止まらない。少年は、流れ出る汗を右手で拭き取る。
何があったのだろう。
とても息が荒く、着ている服も、汗で湿っている程。
「ハァ、ハァ……」
と、突然少年は、何かから逃げるようにして、走り出した。
酷く、怯えているようで、先程から何度も後ろを確認している。
一体、なんだというのだ……
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