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「あと二人……」
クリアの目の前にいたもの。それはゆうに三メートルは越える身長に、むっくりと青い毛が生えている。
この銀世界には似つかわしくない程に、暖かそう。そいつの顔。瞼が出っ張り鼻が丸く、下顎から二本の牙が飛び出ている。
一言で言うと化物だ……
そんな化け物が今、クリアの目の前に立ち塞がり、意味深な発言をした。クリアはと言えばそれを重々承知したうえで、多めに唾を飲み込んだ。
「る、ルージュはどうしたっ!?」
クリアは震えながらも、化物にその質問を投げ掛けた。
辺りはシンとしている。恰(アタカ)も、世界中にもう彼らしか生き残りがいないという程、静寂だった。
月夜の晩、クリアは化物と雪の中で対峙する。
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