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化物は月に背中を向けて立っている。
月明かりの逆光でこちら側は黒く、化物のその赤い目だけがギラリと光っている。それと対峙するので、クリア側からみると化物はとても恐い。
「ハァ……奴は……逃がした……」
そんな化物が言った一言はとても意外だった。
あと二人という発言からして、他の奴等は全て殺したか、何かをしたはずなのに。ルージュは逃がしたらしい。
そして今、最後に兄であるクリアを殺して帰ろうとでも言うのか……
クリアはまた多めに唾を飲み込んだ。
どうやらルージュは生きているようだ。それに安堵したのもつかの間。今度は自分の身が危うい。
だが化物は、クリアに向かって意外な事を言った。
「貴様は殺さない。だが代わりに……」
代わりに……?
「代わりに、なんだよっ!?」
たまらず聞いた。先程から震えが止まらず、ちゃんと伝わったかはわからないが、とにかく。
すると化物はニヤリと笑い言った。
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