第一章《呪いを解くには》

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 化物は月に背中を向けて立っている。  月明かりの逆光でこちら側は黒く、化物のその赤い目だけがギラリと光っている。それと対峙するので、クリア側からみると化物はとても恐い。 「ハァ……奴は……逃がした……」  そんな化物が言った一言はとても意外だった。  あと二人という発言からして、他の奴等は全て殺したか、何かをしたはずなのに。ルージュは逃がしたらしい。  そして今、最後に兄であるクリアを殺して帰ろうとでも言うのか……  クリアはまた多めに唾を飲み込んだ。  どうやらルージュは生きているようだ。それに安堵したのもつかの間。今度は自分の身が危うい。  だが化物は、クリアに向かって意外な事を言った。 「貴様は殺さない。だが代わりに……」  代わりに……? 「代わりに、なんだよっ!?」  たまらず聞いた。先程から震えが止まらず、ちゃんと伝わったかはわからないが、とにかく。  すると化物はニヤリと笑い言った。
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