30人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は俺をゴキブリを見るような目で見る。
今日も目が合えば、嫌悪を滲ませた顔をする。
『恋愛未満。』
その視線に気がついたのはつい最近の事だ。
どこかで見た顔だと思ったらこないだうっかり男とホテルに入る所をばっちりくっきり見てしまった彼だった。
まさか同じ大学だったとは。
名前は巽君と言うらしい。
彼女らしき子がそう呼んでいた。
学年が違うのでそうそう顔を合わせる機会もないだろうと踏んでたのに世の中ってのは本当広いようで狭い。
「豊ぁ、次休講だろ?飯食いに行こうぜ。」
「あぁ悪い。沼田に呼び出されてんだ。」
「単位たんないのか?」
「ちげぇよ、ゼミの資料作りてぇんだと」
「ふーん。じゃあまたな。」
「おぅ」
1番楽なゼミだと聞いてたのにとんだ誤算だった。
毎回毎回資料の量が半端ない。
まぁ資料を読み合わせるだけで単位が取れるならやっぱり楽な方なんだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!