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きっとこれを人は運命と呼ぶんだろうな。
今日程世の中の狭さを呪った日はきっとない。
「おつかれ…さま…」
忌ま忌ましそうな顔
冷めた目
扉の先には巽君。
「どうも。」
声まで冷たい。
まさかゼミまで同じとは。
なんか漫画みたいだ。
一つ席を空けて座る。
巽君はまるで俺なんか居ないみたいに作業を続けてる。
まぁ…いいか…
ため息を一つ零してプリントに手をかける。
ペラペラと紙をめくる音
ホチキスを留める音
構内に残ってる奴らの声
会話はない。
こんな事なら一人のが絶対気楽に出来た。
てか何で俺がこんな思いをしなきゃいけないんだ。
俺の性癖なんて他人には関係ないだろ。
特にお前には。
何か俺お前に迷惑かけたっけ。
息が詰まりそう。
「………先輩は」
「え?」
一瞬空耳かと思って視線を隣に移すと、口元をきゅっと結んで言い淀んでる巽君。
「ごめん、聞こえなかった。何?」
「先輩は男が好きなんですか?」
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