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一人暮らしをしているアパートの一室で、俺は今日、何度目になるかわからない溜息をついた。
今、俺の目の前には燕尾服に身を包んだ男が一人、座っている。
歳は俺と同じくらいか、少し上…─22、3くらいだろうか。
白銀色の、少し癖のある髪の毛。
メガネの奥の瞳は、鮮やかな─…赤。
テーブルの上で組まれた指は、まるで雪のように白い。
その指を解く事もなく、男はただ柔和に微笑んで俺を見つめている。
どう見ても、日本人ではないこの男。
なぜ、コイツと俺が向かい合って座っているのか…。
その始まりは、数十分前に遡る。
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