7人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めると、昼前だった。
まずい、大遅刻だ!
慌てて飛び起きたところで、今日が土曜日だったことを思い出した。
すっかり気が抜けた俺は、あくびをして再びベッドに倒れ込む。
ここ最近は、バイトが深夜のシフト続きで寝不足気味だったせいもあって、このまま起きている気にはならなかった。
枕元で充電していたスマホが数回鳴ったのを無視して、俺は布団を被り直した。
もう少し寝るか、と目を閉じたときだった。
何かが割れるような音がした。
「なんだ?」
音の出所を探るために起き上がり、ベランダの窓を確認してみる。
窓ガラスにはヒビひとつ入っていない。
皿が落ちたのか?と台所を覗いたが、食器類はシンクの横に置かれたままだ。
部屋を見回しても、壊れたようなものはない。
ワンルームの一人暮らし用の安アパートだ。
上の階の住人が、うっかりコップでも割ったのかもしれない。そう思うことにした。
最初のコメントを投稿しよう!