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でも、手紙には全く心当たりはなかった。
「いや、知らない…。封筒の中身は見た?」
「ううん、見てない。封筒を切ろうとしたんだけど、石みたいに固くて。ハサミが2本、壊れちゃった」
「はぁ?」
豪華な封筒といっても、たかだか紙のはずだ。
流石に今のは冗談だろう。
「つくなら、もうちょいマシな嘘つけよ。俺もうガキじゃないし、そんな変な話、信じるわけないだろ?」
姉ちゃんがふざけているだけだと思っていたが、返ってきた声は必死だった。
「嘘じゃないってば!住所も書いてないのに、毎日家に届くから、お母さんも気味悪がってるし…。ねえ、本当に心当たりないの?」
「ないって。それ完全に嫌がらせだろ。警察に相談したほうが…」
そう言いかけた俺を、姉ちゃんの予想外の言葉が遮った。
「今から、この手紙アンタの家に持っていくから」
「はぁ!?」
俺が声をあげるのと同時に、玄関のチャイムが鳴った。
…嫌な予感がする。
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