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「何って、お前が犯人じゃないのか?」
トトトッとくろせいの隣に駆け寄り、しぐれんは大きな緑色の瞳で己の姿を見つめた。
白い大きなポンポンが付いた紺色の帽子に、袖口・襟・裾等に同様の白い縁取りが付いた、長袖や短パン、それにブーツ。
その姿は黒髪で着物を着た、渋い人形師しぐれんのそれとは似ても似つかない。
「…………」
その姿をガン見しているくろせいの視線に気付き、しぐれんはサラサラの髪の毛を揺らし素早く鏡の前から離れた。
「ともかく、なんとかしなきゃ」
そう決意を固めるしぐれんの姿は、やっぱりどこか迫力に欠けている。
うっとりしつつも話は聞いていたようで、くろせいは力強く頷いた。
「呪いだよなぁ、これって。その手のものに詳しいヤツっていたっけ?」
うーんと考え込むしぐれんの愛らしさによだれを垂らしつつ、くろせいが尋ねると。
何かを思い出したのかポンッと手を打ち、晴れやかな顔をくろせいに向けるしぐれん。
「村はずれに、確か魔法使いが住んでいたはず。彼女に相談してみようじゃないか」
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