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扉から一歩外に出ると、雨で風景が灰色に沈んでいる。 コバルト色の無機質な街の中で、色どりどりの傘がまるで本当の花のように『咲いて』いる。 美雨はその鮮やかさが、何か汚れた卑猥なもののような気がしてしまう。その色が、たとえ花にはない黒い色の傘であっても、濡れてヌラヌラしているのがグロテスクに思える。 傘は大嫌い。 トレンチコートの襟に顎までかくして雨を避けながら、美雨は行き付けのネイルサロンの扉を開いた。
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