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美味しい料理を堪能し、今度こそ露天風呂でくつろぎ、布団で再び交わって…眠る。
と、そこまでは良かった。
翌朝目を覚まして、違和感を覚えた。
あれ…海斗は…?
隣りに寝ていた海斗の姿がない。
ペタペタと敷き布団を触ってみるとほのかに温かかった。
もう起きたのかな、と思い起き上がった瞬間。
襖の向こうから海斗の声が聞こえてきた。
「…ああ、それはマズイな。なんだってそんなミスを…。」
苦々しい声からしてどうやら仕事の話しらしい。
そっと襖を開けると、浴衣姿のまま肩に携帯を挟む海斗の背中が目に入った。
あー…なんか嫌な予感…。
大きなテーブルの上に広げられたたくさんの書類。
あんなものを旅行先にまで…。
よくよく見ればノートパソコンも置かれている。
「まぁ新入社員のする事だ、そんなに叱るなよ安田。…叱るのは俺が後でたっぷりとやる。」
なんだか恐ろしい事を聞いた気がする…。
電話の相手が安田さんなら気にする事もないだろうと、襖を大きく開けて海斗の隣りにしゃがみ込んだ。
それに気づき海斗が微笑みかけてくる。
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