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優しく頭を撫でられ、海斗の肩に頭を預けた。
「…ん、ああ…しかし…。」
安田さんに何か言われたのか、海斗が躊躇うみたく言葉を濁す。
「………ああ、ああ…。そうだな。…じゃあ任せたぞ。」
海斗は心配そうに電話を切って、深いため息を零した。
「…なんか、会社でトラブル?」
「いや、気にしなくて良い。ミスの大小に関わらず連絡するよう言ってあるんだ。」
口ではそう言うものの、眉間には皺が寄っている。
大きなミスって言ってたよね…。
不安になり顔を覗き込むと。
海斗の目は既に書類へと向けられていた。
やっぱり気になるんじゃない。
そう心の中で呟き苦笑する。
書類をしまっても、パソコンを閉じて朝食が運ばれて来ても、海斗はどこか落ち着きがなかった。
嫌な予感はますます強くなっていき、私も自然と口数が減る。
こうなってしまえば部屋の空気は最悪で、それでも私は「そんなに心配なら会社に行ってくれば?」とは言えなかった。
こないだの年越し旅行はマフィアの騒ぎで全然楽しめなかったし、夫婦だけの旅行を楽しみにしていたのだ。
どうしても、二人の時間を奪われたくなかった。
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