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――――双子、そんな生易しいものじゃない。
彼女と私の顔は気味が悪いくらいによく似ていた。
目も、鼻も口も、輪郭さえも。
よく見れば背丈もほとんど変わらないかもしれない。
例え私をよく知る人が彼女を見ても私だと思うだろう。
「…誰なの、この人…。」
彼女は怯えているようだった。
それは当たり前だろう。
私だって怖い。
世の中には自分に似た人間が3人は居るらしいというが…これは違う。
似ているのではない。
まるでコピーだ。
だって、彼女が怯えて出すその声すらも私とそっくりなのだから。
クローンと言った方が分かり易い程だ。
落ち着け、落ち着かなきゃダメ。
微かに震える手を握りしめ、恐る恐る口を開く。
「…私は、結城遊里よ。あなた、名前は?」
彼女は名前を言う事には抵抗があったらしい。
だがかなり躊躇しつつ、そっと声を絞り出した。
「…山崎、早苗です。」
「…さなえちゃんね。ええと…お父さんとお母さんは健在?」
必死に質問を考える。
早苗と自分がこんなにも似ている理由が知りたかった。
この似方はどう考えても不自然だから。
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