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その思いは早苗も同じだったらしく、様々な質問に戸惑いながらも答えてくれる。
しかし、やはり早苗の父親も母親も聞いた事もない名前だ。
…本当にただ似てるだけだったんだ…。
その答えに行き着いたものの、腑に落ちない。
だけど現実に兄弟でもないのにこんなに似ているのだから納得するしかないのだ。
なんとなく目が離せず早苗と見つめ合っていると、優が急に声を上げる。
「あっ!帰って来た…!」
帰って来た…?
倉庫にある小さい窓から外を覗き込み、慌ててこちらを振り返った。
「すみませんお姉さん…俺が良いって言うまで何も喋らないで下さいね。」
「優ちゃん…気をつけてねっ!」
「ああ。」
早苗に微笑んで優が外へ駆け出していく。
その笑みはとても優しくて、想いが伝わってくるようだった。
「…恋人同士なのね?」
「はい。中学生の時からずっと…。」
照れながら微笑む早苗からも、幸せな感情が伝わってくる。
「彼は誰を迎えに行ったの?」
「……」
やっぱり答えてくれない。
二人共肝心なところで黙ってしまう。
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