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「縄を外します。でも、逃げようとは思わないで下さいね。…逃げたら、あなたの大切な人を傷つけなくてはならなくなるから…。」
早苗が悲しそうに言い縄が外されていく。
大切な人…?
まさか!?
嫌な考えが浮かんその時、再び倉庫のドアが開く。
そこから入ってきた人物を見て目を見開いた。
しかし喋らないでと言われているので必死に口を閉じる。
やっぱり…。
目の前に立っている海斗も目をまん丸くして驚いていた。
いや、海斗の場合は私と早苗ちゃんを見て、という方が正しい。
「なんだ?遊里が怪我をしてると言うからついて来たのに…これはどういう…っ!?」
話している最中に海斗の顔色が変わった。
その横に立つ優が、ナイフを海斗に向けたからだ。
「……子供だと思って油断したな。」
自嘲気味に呟く海斗に、優が言う。
「当てて下さい。」
「何?」
「どっちが遊里さんか、当てて下さい。」
な、何を言い出すの!?
それにいったいどんな意味があるのだろう。
海斗も真意を図りかねているらしく訝しげに眉を寄せた。
……こんな日に限って、私新品の服だわ。
こんなにも似てたらさすがの海斗でも当たる可能性は低い。
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