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「…そこに何故遊里が出てくるんだ。お前達の問題だろう?お前達で解決するべきだ。」
海斗の冷たい声が響く。
言い方は突き放すようなものだが、その考えは間違っていない。
二人の想いが本当ならば…これは二人で努力するしかないのだ。
ささやかな手伝いくらいは出来ても、全くの他人である私達がそこまで介入して良いはずがない。
「…なんとかならないから…なんとかならないからこうするんじゃないか!!」
優が怒鳴り、勢いよく立ち上がった。
海斗に詰め寄って痛いくらいに睨みつける。
「あんた達は大人だから…結婚もいざとなれば勝手に出来る!だけど俺達はまだ子供だから…何も思い通りに出来ない。子供のために大人が動くのは当たり前だろ!?」
海斗はふっと鼻で笑い優を冷めた目で見据えた。
「…都合が悪くなると自分は子供だと言う。そして逆に大人だとも言う。勝手な奴らだな。」
「なっ!?」
「大人が動くのは当たり前だと?そんな事誰が決めた。18にもなって、本当に困った時、誰かを守りたい時、いつも大人を頼るのか?……私ならそんな奴に大事な娘をやるなんて御免だな。」
わなわなと優の体が震える。
それを心配そうに見つめる早苗の目が悲しげに光った。
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