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意を決し、恐る恐る口を開いた。
「あの…米沢さんに、話さなければいけない事が…。」
「…なんでしょう?」
そう聞く米沢さんの笑顔に違和感を覚える。
あ…れ?
何か…笑顔が不自然…?
いやいやまさか。
見間違いだろう。
浮かんだ考えを打ち消し、思いっきり頭を下げた。
「すみません!…私、まだ18才で…結婚を前提に、っていうのもまだ早い気がします。それに…私、お付き合いしてる方がっ…」
ダァン!!!!!
言い終える前に、耳を貫くような音が部屋に響き渡る。
ビクッと体が揺れ、小刻みに震えた。
ゆっくりと体を起こして、音のした場所に目をやる。
テーブルを…拳で叩いたの…?
テーブルの上に置かれた米沢さんの拳がわなわなと震えている。
今までの彼からは想像も出来ない行動に背筋が凍った。
「…冗談でしょう?早苗さん。」
「…よね…ざわさん…」
先程感じた笑顔への違和感が再び蘇ってくる。
………違和感のわけが分かった。
優しくて穏やかだと思っていた彼は、最初から本当に笑ってはいなかったのだ。
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