温泉旅行に見合いはつきもの!?

10/13

5610人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
これが、早苗ちゃんじゃなくて良かった。 まだ18才の彼女がこんな怖い目に合わなくて本当に良かった。 きっと彼女には耐えられない。 世の中にこれ程までに怖い事がある事すら想像もつかないだろう。 これで彼女は優と幸せになれるだろうか。 いや、それは違う。 こんな事で幸せになれるはずがないのに。 もっときちんと話せば良かった。 無理かもしれなくても説得すれば良かった。 そうすればきっと…もっとちゃんと幸せになれたはずなのに。 無理やりお見合いなんか出されて、心配する義理なんてないはずなのに。 こんな時でも誰かの幸せを願ってしまう自分がおかしかった。 怖い。 体中が痛い。 後悔と未練が体の中を渦巻く。 私はどうなるの? もう子供達には会えない? 屋敷のみんなにも…友達や両親にも…。 ……海斗にも? そんなの嫌だ。 どうして「お見合いを断れば良いだけだ」などと考えてしまったんだろう。 人を騙した罰なのかな。 こんな事になるなんて思わなかった。 海斗に会いたい。 抱きしめて欲しい。 名前を呼んで、「もう大丈夫だ」って言って欲しい。 助けて海斗。 痛いよ、苦しいよ。 海斗。 海斗。 海斗―――――――。 そこで、私の意識は途切れた。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5610人が本棚に入れています
本棚に追加