温泉旅行に涙はつきもの

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「お母さん待って下さいっ…」 「あなたにお母さんなんて呼ばれる筋合いはないわ!!!!」 優の声を拒否するように遮り、母親は荒く息を吐く。 「どうしてこんな…こんな事に…」 憔悴しきった様子に優も早苗もそれ以上は言えなくなってしまったみたいだ。 …このまま、2人が引き裂かれるという最悪な結末で終わってしまうのだろうか。 それではあんまりだと思った。 2人がした事はとても悪い事だけれど…想いだけは本物だと思うから。 やりきれない気持ちのまま海斗を見上げる。 それに気付いた海斗が私に微笑み、そっと言葉を投げかけた。 「…確かに2人のした事は犯罪だ。悪い事です。…しかしそもそもの原因は、あなたが2人を無理やり引き裂こうと仕組んだこのお見合いにあったのではないですか?」 「…私は…早苗の幸せを一番に考えたんですっ…。早苗が幸せになれるようにと、それだけを考えて!」 強がっていた母親の顔が悲しげに歪む。 「…何故優君とでは幸せになれないと?」 「それは…」 海斗の質問に、母親はわけを話すのを躊躇っているようだった。 うろうろと視線を泳がし、ようやく口を開く。
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