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言いながら海斗が優達を見ると、2人は小さく頷く。
それを見た母親は、苛立たしげに頭を抱えた。
「絶対に後悔するのよっ…私の言う事を聞いておけば良かったと、必ず思う日がくるわ!」
その言葉に、優と早苗は微かに俯いてしまう。
「俯くな!!!」
海斗が急に怒鳴りつけ2人が肩をビクつかせた。
反射的に上げた顔を見据え海斗が口を開く。
「…自分達の想いが本物なら、絶対に俯くな。真っ直ぐお母さんの目を見て何度でも想いを伝えろ。それが今お前達に必要な事だろう!」
「海斗…」
あんなに2人の事を怒っていたのに。
今は2人の為に口を開いている。
私をお人好しだお人好しだと言うけれど…海斗の方が実は情に厚いのだ。
海斗の真剣な瞳に、優が目に涙を溜め頷く。
早苗の母親の方に体を向け、ゴクリと唾を飲み込んだ。
緊張を必死に押し殺し真っ直ぐに視線を合わせる。
「…こんな事しでかしてしまって…本当にすみません。その事に関しては何の言い訳もしません。…でも…早苗さんに対する思いは真剣なんです。苦労させるかもしれないけど…でも俺絶対…」
そこで言葉を区切り。
優は早苗の顔をチラッと見た。
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