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そして再び母親に視線を戻し、キッパリと言い切った。
「絶対早苗さんの事守ってみせます!!」
優君……。
じわじわと温かいものが込み上げてくる。
私達のような年齢から見れば、18才の彼はまだまだ子供だ。
だけどそんな彼が強い瞳でただ一人の女性を守ると言った事にひどく感動した。
早苗を守り学校を退学になり、挙げ句早苗の親に反対されお見合いまで…。
それでも彼は早苗の想いを守りたいが為に犯罪になるような事までしてしまったんだろう。
やり方は間違っているけど…その強い想いに、少しだけ海斗の姿が重なった。
「そんな…どうやって守るって言うのよ…。絶対に後悔するって言ってるのにっ…」
優の気迫に押されたのか、母親の声が揺らいでいる。
彼の真剣な想いを感じ取ってくれたのだろう。
更にそれを助けるように海斗が穏やかに言葉を続けた。
「…後悔というのは、誰にでもあるものです。ですが、もしあのままあの見合い相手と結婚していたら早苗さんは幸せだったでしょうか?」
「それは…」
母親は言葉をなくし、僅かに目を伏せる。
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