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「人間というのは本当に勝手な生き物で…どの道を進んでも必ず後悔する日があるんです。…お母さんも、ありませんでした?」
「…」
母親は何も答えないが、肯定するみたく顔を背ける。
…そうだね。
後悔のない道なんてきっと無い。
どの別れ道を選んでも…必ず後悔はついてくる。
それは私も同じだ。
「だから、もう好きにさせてやったらどうです?」
「なっ!?そんな無責任なっ…」
バッと顔を上げ顔を真っ赤にする母親に、海斗がクスッと笑う。
その柔らかな微笑みに、私だけではなく早苗や母親までもが頬を染めた。
「…ほら、こんなに責任感のあるお母さんに育てられたんでしょう?早苗さんも、良い悪いの分かる優しい子に育っていますよ。」
海斗はチラッと早苗に視線を送り目を伏せる。
「…子供は親が守ってやるべきだ。だが…私は思うんです。親の敷いたレールを走らせても、自分で道を作り出し歩んで行っても、どうせ後悔するんだ、と。だったらもう…好きにやらせてしまえば良い。どちらの道で後悔してもそれは自分のせいなのだから、どうせなら自分で選んだ方が良いでしょう?」
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