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優はクスリと笑い、隣りに立つ早苗に視線を向ける。
早苗も同じように優を見て、顔を見合わせ微笑んだ。
「…結城さんのような仲の良い夫婦になれるよう、頑張ります。」
早苗の言葉に、海斗がふわりと微笑む。
途端に早苗の頬が赤く染まり、優が慌てたように声を上げた。
「あ、じゃ、じゃあ俺達はこれで!」
「?…ああ。」
「本当にすみませんでした。怪我までさせてしまって…また改めて謝罪に伺います。」
早苗の言葉に頷き、海斗が車へと向かう。
私は早苗と優を交互に見てから早苗に近づいた。
「…最初はそっくり過ぎてちょっと戸惑ってたんだけど…でも、出会えて良かったわ。…怪我をしたのがあなたじゃなくて良かった…。」
「遊里さ…」
早苗の目が潤み、細い手が私の手を握る。
「こんな事をしてしまったのに…お2人共優しくて…。本当にありがとうございますっ…!」
何度も頭を下げる早苗をやんわりと止め、数歩後ずさった。
「いつでも遊びに来てね!歓迎するわ!」
手を振り、助手席に乗り込む。
深く頭を下げる2人に見送られながら病院への道を急いだ。
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