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「…」
あ…あれ…?
車内の雰囲気は何故だか重い。
な…なんか怒ってらっしゃるのかしら…?
ドキドキしつつ運転する海斗の横顔をチラチラと盗み見た。
無表情…。
顔からでは感情は読み取れないが、海斗の周りのオーラが怒っている。
な…なんで!?
朝の事は謝ったし!
許してくれたはずだし!
あと…あと何かした!?
悶々と考えている間に、車はさっさと病院に着いてしまった。
そして、ドアを開けて地面に足を着けようとした瞬間。
「う…?」
ふわっと体が浮き、横抱きにされてしまう。
「か、海斗っ大丈夫だから下ろしてっ…!」
「……」
恥ずかしくて言ったのに海斗は無言のままズカズカと緊急搬入口から中に入った。
あれやこれやと調べられ、結局下された診断は軽い脳震盪と打撲に切り傷。
痛み止めや消毒などで早々と帰されてしまった。
診察室の前で待っていた海斗にそれを告げると、盛大にため息をつかれる。
「…良かった…。」
「海斗…わっ!」
急に抱きしめられ、海斗の胸に顔が押しつけられた。
そこから聞こえる、信じられない程に早い海斗の心臓の音。
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