温泉旅行に愛はつきもの

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それを聞いてハッとした。 「…ごめんなさい海斗、心配かけて…」 「それは…お前のせいじゃない。俺がもっと早くっ…」 怒ってたわけじゃない。 海斗の心臓が止まりかけたのだ。 私が米沢さんに組み敷かれている場面を見たあの瞬間に。 傷ついた私の顔を見て、胸が張り裂けそうになったのだ。 そして自身を責めた。 私を止めていれば良かった。 もっと早く駆けつければ良かった、と。 私の怪我の診断が下るまで気が気じゃなかったのだろう。 私はそっと海斗の背中を抱きしめ、優しく叩いた。 海斗のせいじゃない。 私が一人で出歩かなければ…。 あんな作戦に乗らなければ。 そうすれば防げた事件だったのだから。 だけど今更後悔をしても仕方ない。 それよりも…また二人でこうして抱き合える今を大事にしなければ。 「…旅館に帰ろう海斗…。まだ旅行は残ってるよ。」 「ああ、そうだな…。帰ろう。」 顔を離し、海斗に微笑みかけた。 安堵したような笑みが返され、体が離れていく。 その代わりに、大きな手が私の手を包み込んだ。
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