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ある小さな事務所…その中に男が一人いた。
「はぁ……」
その男は、家計簿を見ながらため息をついていた。
「どうしよう…今月の家賃…」
男はかなり疲れたような声で言った。
男はジャージ姿で無性ひげを生やしている。
少し前までは、青いスーツでキめて、胸に小さな輝きのあった、この男の名は「成歩堂 龍一」と言った。
彼は二ヶ月前のある裁判で弁護士バッチを失うことになった。
彼は、そのおかげで完全な失業状態に追い込まれていた。
「でも……」
そう、彼は何もしない訳にはいかなかった。
なにせ…
「どうしたのパパ、元気ないよ。」
8才ぐらいの女の子が言う。
彼には娘がいた。
名前は「みぬき」と言った。
しかし、成歩堂の本当の娘ではなかった。
二ヶ月前、あの事件の容疑者として逮捕、起訴された魔術師の娘だ。
その男は裁判の最中、「消失」した。
そして、後に残された彼女は身寄りが無かったため、成歩堂が娘として引き取ることになった。
しかし…
子供を育てるのにはかなりお金が必要だった。その上、成歩堂が引き取る十ヶ月前から給食費を滞納したりしており、成歩堂は慢性的な金欠を起こしていた。
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