3:手紙

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「パパ、手紙届いてるよー」 魔術師の衣装を着た少女が手紙を片手に言う。 「ああ、ありがと、みぬき。」 「パパ」と呼ばれた男はそれを受け取ろうとする、が、彼女の手には有ったはずの手紙が無い。 「どこへやったのかなぁ。」 「パパ」には、もう何処にあるのかは分かっているようだったが勿体振っている。 辺りを探す振りをした後、机の引き出しに手を入れ、 「あ、あった、 すごいねぇみぬきは。」 と、おどろいてみせた。 「あっ、またみぬきを子供扱いしたー」 みぬきは不満そうに頬を膨らませた。 「パパ」は、届いた手紙に目をやった。 二通ある。 一通は桜色の便せんにボールペンで、成歩堂芸能事務所の住所と、宛先に「成歩堂 龍一様」と書いている。 もう一通は薄紫色の便せんで、やはり、事務所の住所と、成歩堂の名前が書かれていた。 「じゃ、ステージに行ってきまーす。」 そう言うと、玄関へ走って行ってしまった。
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