父の背中

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父の背中

父は 私が物心つく前から 母と中華料理屋を自営業していました。 その頃は 味も評判で 行列が出来るほとだったと 周りの人からはききます。 いつも 深夜2時まで父は仕事をし 母は 10時半には 家に帰宅していました。 親が深夜の仕事柄 私達 3姉妹は 学校での 出来事を 一番 真っ先に話したい 両親が 帰ると 居なくて…夕食も家族そろって食べた記憶はあまりありません。いつも 3人ふざけて 寂しさをまぎらわせていました。 そんな 私たちの気持ちを 察したのか 母が 3人それぞれの交換日記を作り 手渡してくれました。 それが 嬉しくて 嬉しくて 毎日 沢山の言葉を並べては 恥ずかしそうに 隠したり 見せあったり 3人で キャピキャピ いいながら それぞれのの思いを書きました。 毎日朝になって 母の返事や 自分の 要求に 答えてくれたのか 楽しみで それからは 早く寝るようになりました。 朝起きると ちゃんと 枕元にノートが置いてあります。 あいうえお作文に 書かれた文字は 照れ臭くて 読めない 愛してるの文字が ストレートに書かれてあります。 心の 中の 寂しさを 一瞬にして 消し去ってくれる言葉です。 そんな 母とは 変わり その頃も父は ギャンブル一筋でした。 運動会に父が出席する事はありません。 父は いつも 私たち 子供より 仕事 金 ギャンブルです。 父が 私たちを どう思っているのかは その頃は 深く考える事もなく あぁ また いつもの 事だと おもって いました。 それに そんな 父を 嫌いと 思う事も ありませんでした。 なぜなら… 父が 大きな中華包丁を降り下ろし 大きな中華鍋を 振る背中が 私には 誇らしく もの凄く かっこ良く大好きだったから…。 だからこそ もっと 構ってほしかった… けど…。
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